神事を日程に沿って (1)
神事の流れを頭人が選ばれる9月1日から日程に沿って紹介していきます。
実際には別頁のように約1年前から下準備は始まりますが、具体的に準備が始まるのはこの日からです。
9/1 <頭人抽選・口取り連中決定>
    あらかじめ一ツ物頭人に関する説明会が開かれ、
    希望者多数の場合は抽選。(町内の4〜7歳男児が有資格者) 
    予備抽選で順番を決め、本抽選で一番くじを引いた者が頭人となる。
    一ツ物・行事は、宵宮には肩車で、昼宮には馬に乗って宮入りする。
    この際肩車をし、馬の口取りをする若者が、連中単位で決められる。

    <頭人乗馬練習>
    頭人は馬に乗る練習をする。
    <口取り囃子唄練習>
    一ツ物及び行事は、各地区から神社までの道中、囃子唄に囃される。
    本庄村(曽根町)・西村(阿弥陀町)は「ヨイヨイベー」
       乗り子や家をほめたりする句がアドリブ的に唄われてきた。
       「これが○○(町名)の頭人じゃ ヨイヨイベー、これが○○(姓)の
       ボンボンじゃ ヨイヨイベー、三国一の男前 ヨイヨイベー、こんな
       男前どこにいる ヨイヨイベー、ヨイヨイベーと囃しゃんせ ヨイヨイベー
       あとは頼むぞ若い衆 ヨイヨイベー」といった具合である。
       ただ、唄い出しは「とうかみ しょうもんべー、はらえたまえ しょうもんべー
       清めてたまえ しょうもんべー」という文句に決まっている。
    伊村(伊保・高須)は「カワシギ」・「秋の田」
       「秋の田の刈りへりるをうをの柳あらばいれて八重垣もそよの」
       「河岸に刈りへりるをうをの柳あらばいれて八重垣もそよも」
       これは、中世の催馬楽とも、船引唄ともいわれる。
        
28日 <大竹採取、準備>
     一ツ物及び行事の行列の先頭を行く、大竹を採取する。
     宵宮用には高張提灯・昼宮用には幟をつける。
     根元には十数本の綱をつけ、先端の方には四方から引くタコ綱をかける。
     辻々でこれを地面に打ちつけ、神社での神式後に粉々に打ち砕く。
     (10m以上もある大竹が一気に割れる様は、曽根の祭りの名物の1つです)
     但し、昭和初期までは、根元を地面に付けず、静かに移動させていた。

10/1 <のぼり立て>
     屋台蔵に神事幟を立て、頭人の家には名前と梅鉢の紋入りの燈篭を掲げる。

     <頭人社参>
     一ツ物頭人・行事頭人が両親と共に社参しお祓いを受ける。
     頭人をつとめる事を神前に奉告し、真忌(マイミ)に入るのである。
     古くは別火生活をし、精進潔斎を課せられた。
     この日から頭人は、祭礼前日の12日まで毎日社参する。

     <木札・献供品記の配布>
     神社より各頭人の木札と、献供品目を書いた書面を持参する。
     木札は、一ツ物頭人4・行事頭人・和供頭人・流鏑馬の合計7枚。
     献供品は、一ツ物・行事頭人は、神酒1升・白米1升・甘酒2桶。
            流鏑馬は、御幣料のみ。
     和供の献供品は、柚(みかんで代用)150個・栗420個・梨45個・柿90個
                粟穂(稲穂で代用)9本・甘酒2桶・白蒸5合・神酒2升
                白米2合・小餅120個。

     <花笠・尾花の製作>
     花笠は、竹で編んだ笠に3・5・7の奇数の山鳥の羽を立て、菊の造花を飾る。
     ススキの穂3本くらいを束ね、巴と梅鉢の紋を描いた紙を取付ける。

 11日 <花挿し>
      一ツ物頭人を中心に、祭礼当日の装いをして集まり、神事が行われる。
      この時、一ツ物頭人に神主が花笠を被らせる事によって、支度が完成する。
      神事の後、小宴があり、囃子唄を披露しお開きとなる。